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公開日:2020年12月10日

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5竹林の整備目標

1.整備目標の区分

竹林の整備は、それぞれの竹林を取り巻く自然的、社会的、経済的諸条件を十分勘案し、次の竹林の取り扱い区分などにより、整備目標を決定する必要があります。

2.整備目標の選択

竹林の立地条件と施業の基本方針について模式図に示したものであり、これを目安に現地に応じた整備目標を選択することが必要です。

整備目標

竹林の立地条件整備方針

3.整備目標の目安

1)竹材生産林として再生

整備や搬出など管理上有利な箇所においては、適切に竹材生産林として維持管理されてきましたが、近年、経済性の悪化や地域の過疎・高齢化に伴い担い手が不足しています。
作業路の整備などにより作業効率を向上し、竹材生産林として再生、維持管理することができます。

2)タケノコ生産林として再生

かつてのタケノコ生産林が放置され、隣接した森林や農地に侵入・拡大し、荒廃している竹林が増加しています。所有者は可能であればタケノコ生産林として再生する意向を持っていますが、経済性の悪化や、高齢化などにより施業されていません。
作業路の整備などにより作業効率が向上するとともに、地域特産品を開発するなど、タケノコ生産林として再生、維持管理することができます。

3)人工林として維持(侵入竹の除伐)

竹林は旺盛な繁殖力で隣接した人工林(スギ・ヒノキ)に侵入・拡大し、造林木を被圧・枯損させてしまいます。
侵入した竹の混交割合がまだ低く、人工林として維持が可能な人工林であり、かつ、人工林として維持管理が望ましい箇所あるいは竹林として維持が困難な箇所においては侵入した竹を除伐し、人工林として再生させることができます。

4)森林として維持(侵入竹の除伐)

竹林は旺盛な繁殖力で隣接した森林に侵入・拡大し、広葉樹などを被圧・枯損させてしまいます。
侵入した竹の混交割合がまだ低く、天然林として維持が可能な森林であり、かつ、竹林として維持管理することが困難な箇所においては、侵入した竹の除伐を行い、森林を再生することが望まれます。

天然林とは…人工林以外の全ての森林。造林や育林についてほとんど人手が加わっていない森林。

5)森林として再生(竹の皆伐による樹種転換)

侵入した竹の混交割合が高く、樹木が被圧・枯死しており、森林としての公益的機能が低下しており、かつ、立地条件などから見て竹林としての生産目標がなく、放置すれば公益的機能が損なわれるおそれがある箇所においては、竹を皆伐し、樹木を植栽するなど、森林を再生することが望まれます。

4.竹林の整備指針

1)竹の生育と管理のスケジュール

標準的な竹の生育と竹林管理はつぎのとおりです。

2)竹材及びタケノコ生産林の仕立て方

竹材生産林あるいはタケノコ生産林の仕立て方には、立竹本数、切りすかし方、配置、伐竹年齢・時期などの基準があります。

1 竹材生産林

立竹本数は、竹の種類、土地条件及び用途によって異なり、一律ではありません。

伐りすかし方は、毎年伐竹法、隔年伐竹法、3~4年目伐竹法があり、マダケやモウソウチクのような太竹種では毎年伐竹することが望まれます。

立竹配置は、等間隔にすることが望まれます。しかし、地下茎は縦横に地中を走っていることから竹が接していても地下茎は別のものである場合が多く、立竹の配置を無視してはいけませんが、しいて等間隔にする必要はありません。

伐竹年齢は、地下茎の栄養生理など竹を育成する点から、マダケやモウソウチクのような太竹種では3~4年生が最適伐竹齢といえます。

伐採時期は、竹幹水分が50~60%に減少し、セルロースが60%位に増加する時期であり、含有窒素化合物などや防虫や伐竹に伴う養分消耗が少なく、地下茎の貯蔵養分を多い10月~12月頃が適期といえます。

2 タケノコ生産林

タケノコ生産を目的とした竹林では10アール当り150~300本を基準としますが、毎年仕立てる新親竹の本数は10ア-ル当り40~80本程度必要です。

3)不良竹林の改善

竹の適地でありながら、放置や乱伐などのために不良竹林となっているものは、比較的容易に改善ができます。しかし、土質の劣った不適地の不良竹林も少なくなく、この改善は容易でなく、また、不良なマツ林や潅木林などの瘠せ地に、自然に侵入して広がった竹林については改善の効果を期待しにくい場合もあります。

改善の要点は、1.老竹や病枯竹を伐り除く、2.混生する雑木を整理する、3.土質、地形などが不適地の場合、土質の改善か竹種を変えるなどです。

立て方や伐り方により、発生する新竹が太くなったり、細くなったりし、或いは数が増えたり、減ったりします。伐り方の巧拙は、竹林経営の成績に大きく影響します。

4)侵入竹林への対策

竹林の森林などへの侵入・拡大状況は今後も続く可能性が高く、その阻止要因としては1.気候・地質・土壌等の環境要因、2.人為的要因の2つが挙げられますが、人手とコストをかける方法しかないのが現状です。

5)薬剤処理などによる防止策

最近では、竹林の侵入・拡大防止対策として、過疎化・高齢化に伴う農林業の担い手不足から、省力化を目的に、不良竹林の整備のために薬剤処理や障壁の埋設などの実施が試みられています。

香川県森林センターでは、造林地などに侵入する竹を枯らすことを目的として、周辺の自然環境や労力やコストに対する負荷を減らすため、侵入・拡大する竹を効果的に枯らす方法について技術開発を行っています。その特徴は、新開発されたアミノ酸系の農薬を使用するもので、この農薬は地面に落ちても土壌に吸着され、土壌微生物に分解されます。

その方法は、侵入した竹に電気ドリルで穴を開け、農薬を注入するので、農薬の飛散と作業者への付着を防ぐことができます。また、竹は地下茎でつながっているため、竹全部に処理する必要がありません。

しかし、水源と隣接しているなど、立地条件に留意して実施することが大切です。

また、波板トタンの埋設や薬剤などにより竹の侵入・拡大を阻むことは技術的には可能でありますが、その多くの場合、森林所有者など個人の手入れの範囲を超えており、労力やコストの確保について、どのように合意形成を図るかが大きな課題と考えられます。

6)竹林整備のための施業指針

それぞれの整備目標に応じた技術的な整備指針については、参考資料1(PDF:28KB)として添付しています。

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