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公開日:2020年12月10日

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管内の農業・農村の現状と問題点

管内は、県の東端から中央部にかけて、県土面積の約4割を占め、南は標高400~1,000mの讃岐山脈を境に徳島県と接し、そこから瀬戸内海沿岸部に向かって緩やかな傾斜を成し平野が展開しています。管内の耕地面積は約6,925haで、県全体の約39%を占めています。

経営耕地面積規模別経営体数

多くの二級河川がありますが、集水面積・降水量とも少ないため水量は少なく、農業用水は各地の大小のため池やダム、香川用水を水源としています。気候は温暖寡雨で日照時間が長く、管内1経営体当たりの耕地面積は1.02ha(全国平均:3.1ha、香川県平均:1.08ha)と経営規模の零細性は否めませんが、多様な農作物の栽培が可能です。京阪神に近いなどの地理的条件や自然条件を生かし、米麦と園芸作物や畜産などを組み合わせた複合的な経営や施設園芸などの集約的な経営が展開されています。
経営耕地面積は、図-1のとおり、耕地0.5ha未満の販売農家が35%で、1ha未満の販売農家が全体の80%を占めています。
一方、農産物販売金額別農家数は、図-2のとおりで、販売金額50万円未満の農家が約7割を占め、500万円以上は、管内では6.4%に留まっています。
農産物販売金額規模別経営体数

管内には、農協や農業者の集団等が運営する農産物直売所が37か所あり、女性起業グループなどによる農産物の加工・販売活動も行われています。また、消費者の「食の安全・安心」への意識の高まりから、地産地消の再評価、学校給食への地域農産物の導入などのほか、農商工連携や6次産業化による新商品の開発に積極的に取り組む経営体も見られます。
さらに、農産物の販売方法も、農協、卸売市場への出荷のほか、消費者に直販所等で直接販売するケースや食品製造業・外食産業への出荷、さらにインターネットによる販売など流通チャネルの多様化が進むなど、農業・農村を巡って新しい動きが見られます。
東讃管内の農家戸数

管内の農家戸数は、図-3のとおり12,146戸で、うち販売農家は6,639戸と、全体の55%を占めており、年次変化を見ると、販売農家は減少傾向が続いています。年齢別階層農業就業人口は、図-4のとおりで、60歳以上が全体の90%を占める状況であり、担い手の確保・育成と農業維持の仕組みづくりが急務となっています。

年齢階層別農業就業人口

令和2年度末の管内の認定農業者は、609経営体で、法人化している経営体は126です。近年、新規就農相談件数は年間80件程度で推移しており、他産業からの就農希望者が多く、農外企業からの農業参入も見られます。新規就農者の主な取組品目は、施設園芸のイチゴやアスパラガス、露地のブロッコリー、ネギ、肥育牛などとなっています。
農業経営における女性の果たす役割は一層高まっており、今後、主体的に農業経営に参画する女性農業者の確保・育成及び女性農業者同士のネットワーク化を図る必要があります。また、高齢者の持つ豊富な知識と経験を活かした交流活動を通して、食育やグリーン・ツーリズムなどを展開していく上で、農村の活性化を支える人材の育成を図る必要があります。
管内で集落営農活動を行っている組織は、平成20年度当初の35から100(令和2年度末)組織に増加しました。栽培協定や農業機械の共同利用を目的とした組織と、麦・大豆など土地利用型作物の生産拡大により、積極的な生産性の向上に取組んでいる組織があり、継続可能な営農活動をめざし、法人化した集落営農組織(38法人、令和2年度末)も着実に増加しています。
農業経営基盤の維持・確保の側面から見ると、条件不利地域における耕作放棄地の拡大や住宅・道路建設や都市開発による農地の減少などが顕著であり、管内の耕作放棄地の約半数が、土地持ち非農家の農地で占められています。
土地持ち非農家の多くは、農業従事者の高齢化や農業後継者がいなかったことにより、農家の定義から外れたもので、今後、農業者の高齢化により、土地持ち非農家の増加と、さらに、相続による不在農地所有者の増加も予想されます。
管内の獣類による農作物被害は、生息域の拡大及び生息数の増大により、中山間地域を中心に深刻化しています。イノシシ、サルによる被害は、令和元年には67ha(鳥獣被害全体の82%)、4,357万円(同75%)となっており、また、近年、アライグマ、ハクビシン等中型動物による園芸作物の被害が増加傾向にあり、シカの被害も懸念される状況です。被害増大は生産農家の営農意欲に及ぼす影響が大きく、中山間地域等における耕作放棄地拡大の原因にもなっています。
さらに、近年、温暖化等の影響が作物に出始めており、気候変動への技術対応が必要になってきています。

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