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プロの農家を目指すためには周年生産が前提となります。そのためには施設が必要ですし、労働力も家族だけでは足りないということが少なくありません。また、プロを目指すためには先生の存在も不可欠です。研修先や近所の先進農家との付き合いを通して、アドバイスを請うことも大切になってきます。前述のように、近年の価格低迷や原油の高騰で、経営は決して楽ではありません。コスト削減と適地適作という概念を遵守することが必要でしょう。また、販売についても人任せでなく、「売ってあげる」から「買ってもらう」という意識の切り替えが大切ではないかと思います。ここでは香川県の主要切り花であるキクとカーネーションの経営モデルを紹介します。
周年生産ということで、施設で2作と露地で1作というモデルです。先進農家では施設で年2.5~3作という作型もありますが、もっともスタンダードな型を紹介します。
図-1 輪ギクの施設+露地栽培(施設20a+露地20a、本人・家族2.5名+臨時雇用2名、年収530万円)
本人・家族2.5名+臨時雇用2名、年収530万円)施設では秋ギクを用いて電照による12月と4月出荷の二度切り栽培を、露地では8月出荷を行います。9月と12月は本人と家族だけの労働では足りないため、臨時の雇用が必要となります。なお、冬場に比較的高い温度(最高で18℃)を確保しなければならない作型なので、今後の原油価格の上昇によっては、収益が減少することも考えられます。輪ギクの施設二度切り栽培での具体的な作業名と10a当たりの作業時間は大凡次の通りです。
耕耘・畝立て(35時間)、施肥(15時間)、土壌消毒(60時間)、定植(30時間)、潅水(35時間)、芽かぎ(500時間)、中耕・除草(45時間)、杭打ち・ネット張り(10時間)病害虫防除(45時間)、収穫・出荷調整(315時間)、株整理(30時間)、ビニール張り(60時間)、片づけ(20時間)、その他(130時間)【合計1,330時間】
香川県の主要作型である冬切り栽培のモデルを紹介します。6~7月に植え付け11月から翌年の5月末まで収穫する方法です。
図-2 カーネーションの施設栽培(30a、本人・家族2.5名+臨時雇用2名、年収490万円)
夏場の一時期を除き、コンスタントに作業があります。10月から6月にかけて臨時雇用が必要となります。キクほど高い温度は必要ありませんが、10~12℃程度の加温が継続して必要なので、原油価格の上昇は気になるところです。ただし、弱光線や蒸し込みによる高温は品質を著しく低下させるので、燃料費の節減だけを考えて、被覆資材を何重にも張りっぱなしにするようなことのないように注意します。カーネーションの施設栽培での具体的な作業名と10a当たりの作業時間は大凡次の通りです。
耕耘・定植準備(110時間)、施肥(40時間)、土壌消毒(100時間)、定植(80時間)、潅水(100時間)、摘心・芽かぎ(850時間)、ネット張り(80時間)、病害虫防除(60時間)、収穫・出荷調整(1,600時間)、ビニール張り(60時間)、片づけ(10時間)、その他(120時間)【合計3,210時間】
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