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公開日:2024年1月18日

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調査研究のテーマ

令和6年度

環境科学部門

化学物質環境実態調査

環境省委託事業

化学物質審査規制法の指定化学物質やPRTR制度の候補物質、非意図的生成物質、環境リスク評価及び社会的要因から必要とする物質等の環境残留状況を把握するため、高松港における水質、底質、生物及び高松市内における大気の汚染状況を実態調査する。

 

「海の活力」に関する研究

植物プランクトンに含まれる成分を指標成分とし、その分析方法を確立する。また、海水中の指標成分を測定し、現存する植物プランクトン量(これを「海の活力」と称することとする)の推定を行う。

 

ニッポンバラタナゴの遺伝子解析 -ニッポンバラタナゴ香川個体群の遺伝子モニタリング-

ニッポンバラタナゴとタイリクバラタナゴは、外見からの識別は困難なことから、遺伝子解析により両亜種の判別を行っている。香川個体群の遺伝子モニタリング調査を実施する。

 

小規模事業場における排水処理に関する研究

小規模な食品工場から生じる汚水の排水処理について、主に嫌気性処理(嫌気ろ床)+好気性処理(MBR)を用いて、それぞれの処理条件を最適化した上で、より低コストな排水処理装置を開発する。また、食品工場からの排水は、場合によっては着色するなど通常の排水処理方法では処理が困難であることから、着色排水の処理について、具体的な処理方法の確立に向けた条件検討を行う。(研究の詳細)

 

府中湖水質浄化対策手法の検討

府中湖水質浄化対策手法として、ろ過材を用いた水質改善、二枚貝による水質改善、ミジンコによる水質浄化などについてラボおよびフィールド試験を実施し、導入効果を検証する。

 

環境放射能水準調査

原子力規制委員会原子力規制庁委託事業

放射能の影響の正確な評価に資するため、原発施設周辺のより広範囲な地域(立地県及び隣接県)において、国の委託による環境放射能水準調査を実施している。日常一般生活に関係する環境試料を対象に行われており、その結果と放射線監視データとの比較検討を行う。

 

閉鎖性海域におけるPM2.5濃度上昇要因の分析

瀬戸内海などの閉鎖性海域は、他の地域に比べPM2.5の年平均濃度が高い傾向にある。本研究では、これらの地域の地理的要因に着目し、濃度が上昇しやすい原因について調査する。

 

大気中のPRTR届出物質の迅速調査法の確立

県内でPRTR届出物質を扱っている事業所に火災が起きて有害な気体が発生した際に、避難勧告レベルかどうかなどを迅速に把握する調査方法を開発する。

 

温室効果ガスのモニタリング調査

温室効果ガスは、二酸化炭素がよく知られ影響も大きいが、他に冷凍庫・空調機等の冷媒に使用されているフロン類など大気中濃度は低いものの地球温暖化係数が非常に高いものがある。香川県内での大気中濃度のモニタリングを行い、香川県における温室効果ガス濃度を把握する。

 

環境ストレスによる植物影響評価およびモニタリングに関する研究

国立環境研究所と地方環境研究所等の共同研究(Ⅱ型共同研究)

日本では多くの大気汚染問題が改善されてきたが、光化学オキシダントについては未だ改善に至っておらず、人間の健康はもとより、樹木や農作物等植物への深刻な悪影響が強く懸念されている。そこで、国内各地におけるオゾン等のストレスによる植物影響を、遺伝子発現解析や植物被害調査により、評価・解析していく。

 

植物残渣の堆肥化における最適条件の解明

香川県試験研究機関共同研究(農業試験場)

閉鎖空間となる栽培温室では、生産性向上に向けて光合成促進のため積極的なCO2施用を行っているが、化石燃料を燃焼させる方式がほとんどである。また、栽培が長期間に渡る園芸品目では、栽培管理上、古葉などの植物残渣が大量かつ継続的に発生する。そこで、植物残渣を堆肥化(分解)させ、その際に発生するCO2を有効利用し、栽培施設に施用するといった炭素の循環が望ましいと考えられる。

 

香川県の河川等における水温の長期変動傾向について

香川県の河川の特徴を踏まえた気温上昇に伴う水温、水質への影響を検討するため、過去の水温や溶存酸素量、水素イオン濃度等の測定データを解析し、長期変動傾向を把握する。併せて、長期変動傾向から、気温上昇に伴う将来の河川水温の上昇を予測し、水温上昇による水質の変化や生態系への影響等についても検討する。

 

気候変動による暑熱・健康等への影響に関する研究

気候変動適応に関する地域気候変動適応センター等と国立環境研究所との共同研究

近年、気候変動に伴うリスクの増大が危惧されており、このリスクに適切に対応するためには、気象学的特徴を把握する必要がある。そこで、WBGT計等を用いた試験的な観測を実施して、データ収集を行うとともに、気象観測及びリスクデータ等を活用したリスクの分析手法(影響評価モデル)の検討を行う。今年度からは高齢者住居における暑熱状況の調査を行う。

 

砂浜からのプラスチックの回収・分離方法に関する研究

海岸に漂着したプラスチックごみが、紫外線等によって劣化し、波等によって小さなプラスチック片となったマイクロプラスチックは、その大きさや形状などからマクロプラスチックに比べ回収が困難であるため対策が遅れており、効果的・効率的な回収・分離方法の開発が望まれている。そこで、磁力・風力・分級などを用いて、砂浜からのマイクロプラスチックの回収・分離方法について検討を行う。

 

生活圏域から排出されたマイクロプラスチックの河川等での実態に関する研究

香川県試験研究機関共同研究(産業技術センター、水産試験場)

河川部から沿岸部にかけて存在するマイクロプラスチック(MP)数やサイズの分布について調査を行い、生活圏から排出されたMPの実態を示すと同時に、NR染色法を用いたMPのより簡易な同定手法についての検討を行い、簡易な同定方法の一つとして活用する。

 

香川県内井戸の飲料水水質検査結果に関する考察および災害時の活用について

環境保健研究センターで検査を行った井戸水の飲料水水質検査について、基準超過項目の傾向を探る。また、基準超過しやすい項目について、簡易なろ過装置を試作し、浄化効果を検討することで、どの程度まで水質が改善され、災害時に活用できるのか考察する。

 

香川県内井戸の水温と水質の相関に関する調査研究

県内の井戸の水質調査を実施することで、地下水の地域特徴や変動傾向を把握する。また、結果を蓄積することで水質異常時対応の一助として活用する。

 

連携プラットフォームを活用した環境流出マイクロプラスチックの発生抑制に関する研究

国立環境研究所と地方環境研究所等の共同研究(Ⅱ型共同研究)

プラスチックごみによる海洋汚染の効果的な対策推進や効果の検証には環境流出プラスチックごみの汚染実態の把握が重要である。そこで、国環研・地環研連携プラットフォームを軸にマイクロプラスチック調査方法の共通化と実態把握調査を実施し、調査データの共有に取り組み、地域特性に応じた発生抑制対策を検討する。

 

保健科学部門

香川県で分離された腸管出血性大腸菌の分子疫学解析

厚生労働科学研究国立感染症研究所を中心とした協力研究

感染症法に基づき届出があった腸管出血性大腸菌を用いて、血清型別、ベロ毒素型別、遺伝子解析を行う。遺伝子解析は、PFGE法、MLVA法を実施し、分子疫学解析の結果を比較・解析する。(厚生労働科学研究)国立感染症研究所を中心とした協力研究である。

 

香川県内の薬剤耐性遺伝子の検出状況調査

カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)感染症等の感染症法5類全数把握として届出のあった薬剤耐性菌株を対象に、県内の検出状況について調査し、感染症予防対策の支援に活用する。

 

香川県内で検出された結核菌の分子疫学解析(VNTR)調査

香川県内で結核感染症の届出があった菌株を対象に分子疫学解析(VNTR)を実施し、香川県の結核患者から分離された結核菌について、感染源・感染経路等の究明の支援を行う。

 

全国地研ネットワークに基づく食品およびヒトから分離されるサルモネラ、大腸菌、カンピロバクター等の薬剤耐性の動向調査

厚生労働科学研究国立感染症研究所を中心とした協力研究

ヒト及び食品から分離される食中毒起因菌(サルモネラ属菌、大腸菌、カンピロバクター コリ/ジェジュニ)の薬剤耐性試験を実施し、国内の薬剤耐性菌の分布状況を把握するため国へ情報提供する。

 

感染症の動向

感染症発生動向調査に基づき、県内で発生した感染症の病原体検出状況について疫学解析し、感染症予防対策に活用する。また、感染症法に規定された対象疾病以外の疾病についても検査を行い、動向を把握する。

 

日本脳炎ウイルス流行予測調査

感染症流行予測調査委託事業

ヒトに重篤な急性脳炎をおこす日本脳炎ウイルスは、豚と蚊の間で感染環を形成しているため、豚血清中の当該ウイルスの抗体価を測定し、県内における蔓延状況を調査する。

 

次世代シーケンサーを用いた臨床検体からのウイルス遺伝子検出法の検討

起因病原体が不明の病原体検査においては、現状ウイルス種ごとに設計された複数の遺伝子検査系を実施しているが、検査対象としたウイルス種しか結果が分からない。そこで、次世代シーケンサーを用いた一度の検査で検体中に含まれるウイルス遺伝子全てが網羅的に検出できる方法の検討を行う。

 

ウイルス分離培養検体を用いた次世代シーケンサーによる病原体検索

感染症発生動向調査により搬入される検体について、病原体検索を従来のPCR検査に加え細胞培養を行い、ウイルス分離できた検体から遺伝子を次世代シーケンサーにより解析することで、さらなる病原体探索を実施する。

 

ノロウイルスの遺伝子解析

食中毒事例や胃腸炎集団発生事例及び感染症発生動向調査事業で得られた糞便等からノロウイルスの遺伝子解析を実施する。

 

アデノウイルスの遺伝子解析

感染症発生動向調査事業で実施しているアデノウイルス検査は、陽性となった検体について、PCR産物をサンガーシーケンスにて遺伝子型別を決定している。しかし、昨今アデノウイルスの遺伝子型は多種にわたり、また稀に遺伝子組み換え型も存在するため、遺伝子型の決定が困難な場合もある。そこで遺伝子型別が決定できなかったアデノウイルスについて、ウイルス培養後の検体を用いて次世代シーケンサーによる全ゲノム解析を実施する。

 

日常食中の汚染物質摂取量調査

厚生労働科学研究の一環として国立医薬品食品衛生研究所で実施している分担研究に協力

日常食中の汚染物質(ダイオキシン類等について)の摂取量調査研究であり、全国9機関が参加している。

 

食品添加物一日摂取量調査

厚生労働省の委託事業の一環として国立医薬品食品衛生研究所を中心として実施している調査研究に協力

国民が日常の食事を介して摂取する添加物量を把握し、食生活の安全性を確保することを目的としたもので、地域別試料調製とその分析を、全国9機関で分担して実施している。

 

畜水産物等の残留動物用医薬品の一斉分析法適用の検討

テトラサイクリン系を対象に含む別系統の一斉分析法を検討し、現行法と併用することで、より幅広い項目の分析を可能としたい。

 

食品中に含まれる保存料・甘味料分析法の妥当性評価

ISO/IEC 17025では試験法の妥当性確認が求められている。当センターにおける食品中の保存料・甘味料分析法について、食品種類ごとに妥当性を評価する。令和6年3月に「食品中の食品添加物分析法の妥当性確認ガイドライン」が示されたため、以降はガイドラインに従って実施する。

 

STQ法による保存料・甘味料の一斉分析法の開発

現在、食品中の保存料・甘味料の検査は、通知法に準じ、水蒸気蒸留法・透析法を用いた前処理とHPLCによる測定を行っている。現行法では検査終了までに数日かかるため、抽出・精製までの操作が迅速にできるSTQ法を用いた試験法を開発し、検査時間の短縮を目指す。

 


このページに関するお問い合わせ

環境森林部環境保健研究センター

電話:087-825-0400

FAX:087-825-0408