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香川県埋蔵文化財センターでは、丸亀市飯山町の沖南遺跡の整理作業を4月から行っています。沖南遺跡は令和元年度から3年度にかけて発掘調査を行い、中世の屋敷地や周囲の条里地割と合致する坪界溝などが確認されました。今年度は、令和2年度と3年度の発掘調査で出土した資料の整理作業を行っています。
現在、出土した土器の接合作業を行っています(写真1)。発掘調査で土器が完全な形で見つかることはほとんどなく、基本的には破片の状態で見つかります。しかし、なかには特徴がよく似た破片どうしをくっ付けることで、土器の形を復元できるものがあります。この破片を繋ぎ合わせていく作業を接合作業と呼んでいます。
写真2は接合する前の土器の破片です。これでは今ひとつ形や大きさが分かりません。しかし、これらの破片を組み合わせていくと、写真3のようになります。最初は破片だった土器を接合すると、13世紀前半から半ばの口径11.0cm、器高3.0cmの土師質土器の杯(食器)であることが分かりました。このように、接合作業をする前と後では得られる情報が大きく異なります。
ただし、接合をしても見つからない破片もあり、なかにはバランスが悪く、接合した土器がまた壊れてしまうものもあります。その際には石膏を流し込んで土器を補強します(写真4・5)。こうすると、接合した土器が壊れることが少なくなります。接合作業は単に得られる情報を多くするだけでなく、遺物の保管状況を良くすることにも繋がります。
接合作業は膨大な破片から土器を復元していく気の遠くなるような作業ですが、遺跡や遺構の特徴や年代を知るうえで必要な情報を引き出すことができ、遺物の保管や管理、展示や出前授業などでの活用に繋がる非常に重要な作業といえます。(4月16日)
写真1 土器の接合作業 |
写真2 土器の破片 |
写真3 接合した土器 | |
写真4 土器に石こうを流し込んでいます | |
写真5 石こうを入れた弥生時代後期の土器 |
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