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香川の魅力
目次
伊藤さんが自身で買い付けたアンティーク家具やドライフラワーを駆使して創り上げる空間は、 まさに物語のワンシーン。誰をも幸せの主人公にしてしまう。
三豊市仁尾町を拠点に空間プロデューサーとして活躍する伊藤彰さんが手掛ける空間は、人を美しく際立たせる。香川県丸亀市で写真スタジオの3代目として生まれた伊藤さんだが、将来はカメラマンになるという自覚は全くなかったという。自覚がないまま進学した写真の専門学校で、白黒のポートレートが高評価を得たことから、人物を撮影する面白さと意義を見いだした。そのカメラマンとしての視点が、人を美しく見せるスタジオづくりに生かされている。
オーダーにふさわしい一品を手に入れるため、海外を飛び
まわることも。
伊藤さんは単に空間をプロデュースするだけでなく、自らアンティーク家具の買い付けにヨーロッパに赴き、修理の技術まで身に付けた。かつて実家に戻りスタジオの空間づくりを始めた頃は、日本の古い物を探していたという。現在のスタイルにたどり着いたきっかけは、エイジング塗装※ 1の達人との出会いだった。スタジオ内の塗装を頼んだその職人が仕上げた空間に、西洋のアンティーク家具を置いたとき、追い求めていた空間が目の前に広がった。
さらに、同業者やスタジオオーナーも格式あるアンティーク家具を気軽に使えるようにと、サブスクリプション※2
で貸し出す事業もスタートさせた。実業家としても頭角を現した伊藤さんは、写真スタジオの他に結婚式場、アン
ティーク家具やドライフラワーの専門店を経営する。2年前からは、自らプロデュースしたカフェも展開するようになった。
多忙を極める伊藤さんだが趣味は中学時代にはまった釣り。讃岐のため池でじっと釣り糸を垂れて、水面に揺れる光と影を見つめていた。その情景が、独特の感性を育んだルーツかもしれないという。さらに、「何より好きなのは瀬戸内海の風景」と目を輝かせる。中でも荘内半島の入り江は南フランスの海辺を思わせるという。季節により、時間により、空模様により、刻々と表情を変えながら悠久の美しさを見せる瀬戸内海。そこでの暮らしには、何世代に
もわたり文化を受け継いできたアンティーク家具が意外なほど似合う。
妻淑子さんの実家が丸亀市広島で石材業を営んでいたことから、キッチンには島名産の青木石を使用。歴史ある物と最先端の物を組み合わせるのが、今はたまらなく面白いと語る。
計算された光と、厳選されたアンティークの品々が人々を
魅了するだけでなく、人物の特別な魅力を引き出す。
香川県を代表する観光地となった父母ヶ浜にあるバンケットルーム。海辺にたたずむ古城や南フランスの別荘を思わせる。
三豊市の紫雲出山はアジサイの名所。見頃を終えた花をドライフラワーにして販売し、売り上げの一部は紫雲出山の自然を守る活動に充てられている。
元縫製工場を改装したアンティークショップ。
2階には色とりどりのドライフラワーが並んでいる。
空間プロデューサー 1991年香川県丸亀市生まれ。 大阪の写真専門学校を卒業後、家業の写真館を継ぐ。21歳で高松市、2年後に三豊市に自ら空間プロデュースした結婚式場をオープン。その間、5 0 件以上の写真館のプロデュースや自社出店を全国各地で行う。現在はアンティークショップやカフェの経営など、さまざまな事業にも参入。 |
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