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香川の魅力
目次
穏やかな海に浮かぶ緑の島々、光によって刻々と表情を変える空と海。
瀬戸内海は、その繊細な美しさによって人々を魅了する。
その風景をまるで絵画のように糸で描き出し、新たなデザインとして表現する刺しゅうがある。
その高度な技術は「せと刺しゅう」と呼ばれ、その技で生み出されたブランドは「せと刺織り」と名付けられた。
香川県は古くから繊維産業が盛んな地域として知られている。江戸時代には、「讃岐三白」の一つに数えられた綿の栽培が盛んに行われ、明治時代以降には東かがわ市を中心に手袋産業が発展した。長い歴史の中で培われたものづくりの文化は、刺しゅう産業にも受け継がれてきた。そうした技を引き継ぐ企業の一つが高松市六条町に本社を置く株式会社オーキッドである。1988(昭和63)年に現在の高松市香南町で創業した同社は、大手メーカーの海外進出により経営危機に直面。しかし、当時としては先駆的にインターネットを活用した営業に取り組み、全国から受注を獲得。刺しゅう製品やオリジナルリストバンドの分野で確固たる地位を築いてきた。


ネット注文を中心にあらゆる刺しゅう製品を製造する現場。
さまざまなものに、多彩な刺しゅうを施すことができる。
廣瀬さんは、経営が厳しい状況にあった2 0 0 6 年、高校卒業後、香川県内の老舗料亭に就職。鍋磨きの日々を送った。その後、創業者である父の誘いを受けてオーキッドへ入社。当時の刺しゅう業界は価格競争が激しく、海外生産の拡大によって国内企業を取り巻く環境は厳しかった。そうした中で廣瀬さんが考えたのは、刺しゅうだからこそ生み出せる価値を追求することだった。その挑戦から生まれたのが「せと刺しゅう」である。
「せと刺しゅう」は、刺しゅうと「昇華転写プリント」を組み合わせた独自技術。まず真っ白なポリエステル糸で刺しゅうを施し、その上から色彩を転写することで、従来の刺しゅうでは難しかった微妙な色彩やグラデーションを表現できるようにした。海のきらめきや空の移ろい、島影の陰影や魚鱗の輝きまで、瀬戸内海が見せる繊細な表情を豊かな色彩で再現しながら、刺しゅうならではの立体感や光沢も兼ね備えている。遠くから見れば絵画や写真のようでありながら、近づくと無数の糸が織りなす緻密な造形に目を奪われる。

純白の刺しゅうで浮かび上がる立体的なフォルム。
これに昇華転写プリントを施し、鮮やかな世界が生まれる。
糸を流す方向や重ね方などによって、光の反射や陰影が変わり、作品の表情も大きく変化するため、刺しゅうの世界ではこの設計が非常に重要だという。オーキッドでは年間50万点に及ぶ製品作りを通して培った経験を生かし、デザインデータを刺しゅうへと変換していく。そこにあるのは単なる製造技術ではない。デザインを糸によって表現する高度な技術であり、まさに「糸によるデザイン」と呼ぶべきものだ。

せと刺しゅうが施されたカードケース。光によってさまざまな表情を見せる
刺しゅうの世界は、多島美で知られる瀬戸内海の美しさに重なる。
技にもブランドにも「せと」の名を冠したのは、瀬戸内地域に息づくものづくり文化を発信したいという思いからだった。瀬戸内地域には、香川の手袋、岡山県倉敷市のデニム、愛媛県今治市のタオルなど、全国に誇る繊維産業が数多く存在する。オーキッドでは刺しゅうだけで完結するのではなく、縫製などの工程を地域の企業と連携しながら商品化を進めている。
古くから受け継がれてきた香川のものづくり文化と、磨き続けてきた職人たちの技から生まれた「せと刺織り」。それは、瀬戸の風景や文化、技術を、製品を媒介して未来へ伝える新しいブランドである。香川で続くその挑戦の一針一針には、この地で培われてきた繊細な美意識とものづくりへの誇りが込められている。

栗林公園内にある「かがわ物産館栗林庵」のオリジナル商品「おいりこたおる」。
香川県の伝統菓子「おいり」の愛らしさや、「いりこ」の銀鱗をリアルに表現している。

くるみボタンのような小さな物にも華やぎを添える。

定休日:土・日・祝日
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株式会社オーキッド
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株式会社オーキッド
香川県高松市六条町1122-3
TEL 087-868-3600
https://www.orchid.factory-shop.info/index.html

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