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小豊島は、小豆島と豊島の中間地点にあり、“人間より牛の方が多い”島です。
小豆島オリーブ牛肥育の畜産が盛んで、400頭余りが飼育されています。小豆島オリーブ牛といっても、実は小豆島で育てられている数は少なく、ほとんどがここ小豊島で育てられ、出荷されます。
竹内畜産 竹内幸一さん
小豊島には、畜産農家は2軒。竹内さんのところで約300頭の、そしてもう一軒では約150頭の小豆島オリーブ牛を育てています。
「もともと香川には、地元の肉牛として【讃岐牛】がいましたが、神戸牛などのブランド牛にはかないませんでした。
小豊島ではその頃、漁をしたり、みかんやタバコを栽培しており、これらに使用する堆肥を作るために牛を飼育しているうちに、牛を育てるのがメインになっていきました。私の牛舎がある場所も、もともとはみかん畑として開拓しました。
昭和40年代から始めた牛の肥育。今は、家族と中国からの研修生で、牛の世話をしています。」
「牛の餌に混ぜているオリーブの搾りかすは、小豆島から取り寄せています。しかし、絞ったままだとベタベタで牛は好みません。食べやすいように天日干し、または、乾燥機にかけて乾燥させ、サラサラの状態にします。」
牛にもいろいろな病気があります。「甚大な影響を及ぼすものには、口蹄疫や狂牛病などが挙げられますが、一般的な風邪もひきます。症状(くしゃみ・咳・熱など)も実は人間と同じ。体調の変化は、長年牛の様子を見続けているので、一目で分かりますよ。それに、牛社会にも上下関係が存在し、ストレスのかからないように目配りも必要です。」
有名ブランド牛と遜色ない肉質で値段を安く!
という思いから、県特産のオリーブを飼料に使うというアイディアが生まれました。
しかし、オリーブオイル搾油後の果実は、そのままでは牛は食べてくれません。乾燥させることにより、オリーブの糖分がカラメル風の香りを生み、牛の飼料として利用できることを発見しました。
「小豆島オリーブ牛」とは、小豆島産オリーブのしぼり粕を配合した特別な餌“オリーブ飼料”で育てられた牛のこと。出荷2ヶ月前から毎日200g以上オリーブのしぼり粕を与えた牛の中から、3等級以上のものが「小豆島オリーブ牛」として選ばれます。
讃岐牛の中の、オリーブ牛の中の、小豆島オリーブ牛。とても価値のある美味しい牛です。
オレイン酸を豊富に含むことで知られているオリーブ。 その、オリーブのしぼり粕を配合した“オリーブ飼料”を黒毛和牛に与えることにより、より美味しく、品質の良い「讃岐牛」を育てています。「肉が柔らかい。脂身部分も甘みがあり、しつこくなくて絶品」と言われるほど。おすすめの食べ方は「焼肉」「ステーキ」「牛スジ煮込み」など。讃岐弁でいう、『むつごくない』(しつこくないの意)、胸やけのしにくい、柔らかくあっさりとした、旨味の強いお肉です。
オリーブ牛の生みの親、石井正樹さんが、“讃岐牛”のブランド力を高めるために“オリーブ飼料”を開発し、肉質の高い評価につながったことから、他の畜産農家に声をかけ、2010年(平成22年)に結成した“小豆島オリーブ牛研究会”。
2010年(平成22年)5月、生産者ブランド「小豆島オリーブ牛」が誕生させました。
翌年からは、県ブランド「オリーブ牛」として生産を拡大し、2012年(平成24年)10月には、海外(マカオ)に向け県内より初輸出を行いました。
牛舎に近づくと、一斉に牛たちがこちらを見ます。そのシンクロした動きに、少しビックリしますが、本当につぶらなキレイな瞳をしていること。
普段、何も考えず食している牛肉ですが、育てる人の愛情と、大切な命をいただいているんだと思うと、非常に感慨深いものがあります。
全ての食べ物において同じですが、改めて「食事をする時は、感謝の気持ちを持っていただこう」と、思いました。
写真は、その牛たちを売りに行く際に乗せる、竹内さんの船です。家一軒買えるほどのお値段だそうで、14~15頭乗せることができます。牛のマークがついた船って、なかなか見ることないですよね。
小豊島港から、舗装されていないデコボコの道を進むこと、歩いて約20分。島の北側の海岸に出ます。
道中は起伏もあってカーブも多い、道も細いし行くのは大変ですが、500m程続く、とても素晴らしい砂浜が目の前に広がります。
遠浅で美しく、知る人ぞ知る穴場スポット。
波消しブロックも防波堤も設置されていない、原始のままの砂浜で、夏の海水浴シーズンには、ボートに乗ってくる客もいるそうです。
積の浜には、師楽(しらく)遺跡(岡山県瀬戸内市南東部の師楽にある、師楽式土器の名祖遺跡)と、弥生時代、さらに縄文時代後期の遺跡があり、石鍬(いしぐわ)も出土しています。この島に生業をはじめてもったのは石工人で、今から300~400年以前といわれ、農漁をもって生業としたのは約200年前、開墾が最も盛んに行わられたのは、明治年間といわれています。小豊島で牛の肥育が開始されたのは、昭和40年代頃からで、今では小豆島オリーブ牛の産地を代表する島になりました。
※詳しくは、《水口マリン(電話:0879-68-3123)》にお問い合わせください。
島の道は、集落近くだけコンクリート舗装されていますが、少し離れると砂地になりますので、歩きやすい靴で。基本は徒歩移動です。牛舎の見学での来島の場合は、必ず事前に確認を。
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