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公開日:2020年12月10日

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移住体験談 - ゲストハウス「フランコイル」 直島で日々の選択を大切にする川﨑さん

移住のすすめ

目次

移住前の生活、移住のきっかけ

私も妻も千葉県出身で、移住する前は東京のテレビ局で働いていました。仕事も楽しく、充実した日々でした。将来的な事を考えながら東京で新居を探した時に、妻も私も東京での子育ては難しいのではないかと話すようになりました。

新居探しが難航していたある日、妻から「島はどうか」と唐突に打診されました。私が『島』と聞いてその時思い浮かんだのは沖縄や屋久島だったのですが、妻が口にしたのは「直島」でした。妻が大学時代に訪れた直島の良き思い出がずっと心に残っていたようです。

妻の打診を受けた時、私は自分の夢を思い切って実現させてみようと思いました。その夢とは「ゲストハウスを作りたい!」という夢でした。

早速、実現性があるかどうかを見極めるために、直島を訪れたのが2014年です。その時に直島内のゲストハウスに泊まったのですが、そこのオーナーに「直島に移住してゲストハウスを作りたいと考えている」と相談すると、町議会の議員の方に電話してくれたんです。その議員の方から地域おこし協力隊の方に繋がり、そして物件探しのために空き家バンクに利用登録しました。

1回目の視察で実現への手応えを感じた私達は、移住に向けて本格的に舵を切りました。

事業計画の作成

ゲストハウスを作ろうと決心してから、情報収集のために東京の有楽町で開催された移住フェアに参加しました。
そこで、県のかがわ産業支援財団への相談を勧められました。

財団窓口に直島でゲストハウスをつくりたいという思いを伝えると、事業計画書や経理的な事、起業の心構えなどを教えてもらえることになりました。それからは定期的にマンツーマンで指導を受けました。まだ東京で仕事を続けていた時期でしたので、東京から香川県へ月1、2回のペースで通っていました。いま考えるとよく通ったな、と思いますが、そのころは「自分が苦労すればするほど成功に近づく」という気構えがあったんです。

物件探しと資金調達、開業準備

事業計画を練るのと並行して直島での住まい探しも行いました。運よく「直島カラーズ(※)」の空き家バンクから物件を紹介してもらい、今の土地を見つけることが出来ました。

土地の見込みも立ったので、次は資金調達だと思い、まずは日本政策金融公庫に事業計画書を持ち込みました。しかし、『事業経験が無い』という理由で融資を断られてしまいました。
次に地元の銀行に相談に行きました。産業支援財団で指導を受けている旨や、自分達の事業の実現性をアピールし、審査の結果、なんとか融資の目処もたちました。

住居とゲストハウスを新築する事になり、建築会社を決めたのですが、請負契約の一週間後にその会社が倒産してしまい……自己資金の一部を失うというトラブルに巻き込まれました。
移住計画自体も半年ほど遅れてしまいましたが、諦めずまた新たに建築会社を探し、今の住居とゲストハウスを建てることが出来ました。

 

この建築中に妻の妊娠がわかり、里帰り出産のため妻は実家の千葉へ。以降は1人で開業準備をすることになりました。開業の準備は苦労の連続で、当時は体重も落ちて激痩せしましたね。(笑)

開業しても当初は一人でしたので、宿泊は一部屋のみの運営でした。カフェ営業も曜日を決めての営業でした。

一人でカフェを営業していたある日、直島の方が来てくれたんです。その方は初めて来られた方だったのですが、すでに数組のお客様をお待たせしている状況を見て、洗い物を手伝ってくれたんです。その日以来、お店を手伝ってくださるようになり、今ではベビーシッターもしてくださっています。

※直島カラーズ…直島町に移住・定住する人をサポートする、直島の「暮らし」「仕事」「体験」「イベント」情報発信サイト

ゲストハウスのこだわり

部屋は二部屋あり、小さい宿ですが設備とデザイン、そして朝食にこだわりました。

設備としてはそれぞれの部屋にシャワールーム、洗面台、トイレがあり、プライバシーも確保できる設計になっています。
朝食には自家焙煎のコーヒーを提供しており、お泊りのお客様にも好評です。妻も私も旅行が好きで、たくさんの宿泊施設を利用し学んだ集大成が今の自分達のゲストハウスです。

ゲストハウスの名前は「フランコイル」にしました。フランコがスペイン語で素直、イルがフランス語で島と言う意味でして、二つを合わせた造語です。直島の島名の由来にちなんだ名前です。

移住してから感じること

東京から地方への移住、とりわけ島への移住だったのですが、インフラに対する不満はあまりないですね。LPガスだと高いなぁと思ったりするくらいです。私は都会の便利な生活も良いと思いますが、それ以上に自然が多く、その土地に合った暮らし方をする方が良いと思っています。なので、都会に対する名残惜しさは無いですね。自分にとって、何が便利でどの不便を楽しむかを考えるようになりました。

会社員の頃と比べて、個人事業としてのつらいことも多いですが、自分で決めて運営していくことに面白みも感じます。将来的な事業としてのプランもありますが、自分がコントロールできる範囲のものを着実に守りながらやっていきたいと思っています。また、今では月に1回ほど直島の未来を考える「直島塾」に参加するなど、地元の方との縁も大切にしていきたいです。

直島移住へのきっかけは妻でしたが、休みの日にすぐ近くの浜辺に遊びに行き家族の楽しむ姿と、瀬戸内の穏やかな景色を見る度に直島にきてよかったな、と思います。

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